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月にひらく襟

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★★★★★
1991年2月28日
㈱青林堂発行
鳩山郁子著

 もう何年前だろうか?神保町の某本屋さんで、表紙に惹かれてこの本を買って以来、私は鳩山郁子さんの大ファンである。店頭では中を見ることができなかったのだが、開いたとたんに私を虜にした。今でもこの本は私の宝物である。鳩山さんの他の本も、おそらくほとんど読んだと思うが、どういうわけか最初に手にしたこの本が、私の中ではベストなのである。
 青いガラスの世界で生きているかのような純粋な少年達と、その少年達が語り息づく、美しく不思議な言葉と画風。とりわけ透明な物質の表現力には魅了される。
 特に好きな作品は「シュガーヒカップ」、「リリー、ランタン、ロータス」。長野まゆみさんの考察。
# by voice1008 | 2007-03-14 23:38 | Books

夜市

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★★★★★
2005年10月 角川書店発行
第12回日本ホラー小説大賞受賞
恒川光太郎著

 夜市は妖怪の市場。そこではどんなものでも手に入るという。子供の頃、何かに導かれるように夜市に入り込んでしまった裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買ってしまう。果たして弟はどうなったのだろう?罪悪感を抱えたまま大人になった彼は、友達のいずみを連れ、弟を取り戻すために再び夜市へと向かう。

 この不思議な感覚に陥る物語はホラーなのか…?確かに不気味で残酷な描写はあるが、それでも重苦しさを感じないのは何故だろう?妖怪の市場という現実離れした題材のせいなのか。物売り一人(?)にしても、実に生き生きとユニークに描かれていて面白い。そしてまさかと思わせる後半の展開と、心が締めつけられる切ないエンディング。短編ではあるが、読み応え充分。やみつきになりそうな独特の雰囲気を持っている。次回作がとても楽しみだ。
# by voice1008 | 2006-03-13 22:16 | Books

「アパートメント」

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★★★★
製作   1995年 フランス・イタリア・スペイン合作
監督   ジル・ミモーニ
キャスト ロマーヌ・ポーランジェ ヴァンサン・カッセル モニカ・ベルッチ

 昔別れた恋人のリザを偶然見つけ、残された鍵を手掛かりに、婚約者がありながらも探し求めるマックス。やっとのことで彼女のアパートまで辿り着くが、そこにいたのは彼の探すリザではなかった。不思議な魅力を持つもう一人のリザに、マックスの心はあっという間に奪われていく。同時期に親友リュシアンにも恋人ができるが…。

 モニカベルッチがとても綺麗でロマーヌもかわいい。しかしとても怖い話。一途な女の執念と悲哀を痛感。それにしても見事な構成力。必ずもう一度見たくなる映画の一つ。ハリウッドのリメイク版、「ホワイトライズ」もまぁ良かったが、ラストが変わってしまっていた。私としては「アパートメント」のラストの方が切なくて好み。
 下はハリウッド版「ホワイトライズ」。主演はジョシュ・ハートネット。謎のリザ役のローズ・バーンがいい。
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# by voice1008 | 2006-03-12 22:53 | Movie

「ディナー・ラッシュ」

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★★★★★
製作   2001年 アメリカ
監督   ボブ・ジラルディ
キャスト ダニー・アイエロ エドアルド・バレリーニ
 
 NYで繁盛しているイタリアンレストラン。そのオーナーの相棒がマフィアに殺されてしまう。一方、彼の息子であるシェフのウードは、今日も厨房と店内を忙しく切り盛りしている。もっぱら彼の関心は、この店がいつ自分のものになるのかということ。そのレストランに、副シェフであるダンカンの賭け事がきっかけで、相棒を奪ったマフィア二人が現れた…。

 これ、ほんといいかも。メインはほんの一晩だけの話なんだけど、ラストも爽快で大満足。厨房の中の流れが実に見応えがあり、そのシーンが長いわりに、ただ料理をもくもくと作っているという、たいくつなもので終わっていない。料理人と客人達との一体感がしっかり感じられる。ゴチャゴチャしている場面が多いが、いたってストーリーはわかりやすい。鑑賞後、そのセンスの良さに思わずニヤリとしてしまったのは、私だけではないはずだ。
 シェフ役のエドアルド・バレニーニは今後も期待できそうか?と思ったんだけど、その後見かけず…。
# by voice1008 | 2006-03-12 22:12 | Movie

「尼僧の恋」

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製作   1993年 イタリア映画
監督   フランコ・ゼッフィレッリ
キャスト アンジェラ・ベディス ジョナサン・シャーク

 1854年シチリア。幼い頃から修道院で見習い尼として生きてきたマリアに、疫病騒動がきっかけで、突然の恋が訪れる。可憐で清楚で純粋な彼女に、青年ニーノも惹かれていく。マリアはそんな自分の恋情に葛藤する。自分は神の子であらねばならない。ニーノの交際の申し出も拒絶し、神のもとへと戻る道を選ぶが、男性を愛するという罪の苦しみから、マリアの心は次第に狂気へと導かれていく。

 悲劇のヒロインにどっぷりつかりたい人には是非お勧め。これでもかこれでもかと、大袈裟過ぎるくらいの悲劇っぷり。同情を通り越して苦笑。イライラするくらいの従順さと純粋さには多少疑問…。しかし観たのは10年以上前。今観たらその苦悩に素直に泣けるのかもしれない。
 映像は自然の壮大さが、とても生き生きと映し出されていて素晴らしい。あとはマリアの友達のキャラが対照的でとてもいいのだが、この女優さんはいったい誰?
# by voice1008 | 2006-03-12 21:58 | Movie